ドル円、148円台を回復 パウエル講演を前に予想上回る米指標で利下げ期待が後退=NY為替概況
ドル円、148円台を回復 パウエル講演を前に予想上回る米指標で利下げ期待が後退=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル高が優勢となり、ドル円は148円台を回復。この日発表の米経済指標が予想を上回る内容となったことがドル高の背景。
特に8月調査の米PMI速報値が強い内容となったことから、短期金融市場では、明日のパウエル議長の講演を前に、利下げ期待を後退させている。9月FOMCでの利下げ期待の確率は指標発表前の80%程度から73%程度まで低下。また、年内の利下げも2回を完全に織り込めないでいる。
明日のパウエル議長の講演は市場が期待しているほど、早期の追加利下げを許容する内容にはならないのではとの見方もある中、本日の為替市場はポジション調整が出ていたようだ。ドル円はストップを巻き込む形で一時148.40円近辺まで上昇。
米司法省の高官がクックFRB理事の不正住宅ローン借入疑惑で調査を開始したことをパウエル議長に書簡で伝えるとともに、クックFRB理事を理事会から外し、辞任促すよう要求。それを受けてドル円は伸び悩む場面もあったが、終盤にかけて買い戻しの動きを続けていた。
ユーロドルは戻り売りが続き、1.16ドルちょうど付近まで値を落とす展開。本日の下げで21日線を下回る動きが見られ、明日のパウエル議長の講演を受けた反応が警戒される。
この日は8月調査分のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、予想を上回る内容となっていた。エコノミストからは「米国の関税や全般的な不透明感といった逆風にも関わらず、ユーロ圏の企業は比較的うまく対応できているようだ」とのコメントも出ていた。
今回の結果は、貿易やウクライナ戦争といった逆風に対する欧州の回復力を示すもので、利下げを急ぐ必要はないとしているECB当局者の主張を後押ししそうだ。ただ、ユーロの反応は一時的。
ポンドドルも戻り売りが続き、1.34ドル台前半に下落。本日の下げで21日線と100日線を下回る動きが見られ、こちらも明日のパウエル議長の講演を受けた反応が警戒される。
アナリストは、英国の厳しい財政見通しを背景に、ポンドは中期的に下落する可能性があると指摘している。増税が迫っており、成長鈍化と伴にポンドの一段安は避けられないという。ただし、ポンド安は緩やかなものになる可能性が高く、そのためポンドロングの投資家は非常に忍耐強く待つか、投機筋がポンドのショートを手仕舞う局面を利用して、より良い参入水準を探る必要があるとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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