米CPI後のドル安が続く ドル円は一時147円台前半に下落=NY為替概況
米CPI後のドル安が続く ドル円は一時147円台前半に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時147円台前半まで値を落とした。前日の米消費者物価指数(CPI)を受けて、為替市場はドル安が優勢となっている。米CPIに対する市場の見解は分かれているようだが、FRBの利下げ期待に変化はない。短期金融市場では9月利下げの確率を完全に織り込んだ状況。
一部では大幅利下げの可能性が高まったとの見方も出ており、ドル安を誘発しているようだ。ベッセント財務長官が「9月は0.50%ポイントの大幅利下げを実施すべき」と主張していることもその背景にある。現段階で市場はそこまでは織り込んでいないが、その点については来週のワイオミング州ジャクソンホールで行われるFRBの年次総会待ちといたところかもしれない。ドル円は上下動したが、結局147円台のレンジに落ち着いている。
ベッセント財務長官が日銀の植田総裁と会談をしたことを明らかにした。長官は「これは植田総裁の見解ではなく、私見だが、日銀はビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)に陥っており、利上げするだろう」と語った。今週の金曜日に日本の第2四半期のGDP速報値が発表になるが、内需が貢献し、前期比年率換算で0.4%のプラス成長が見込まれ、第1四半期のマイナス成長からは脱却が予想されている。相変わらず弱い数字ではあるが、日銀の利上げは正当化すると見込まれているようだ。
ユーロドルは1.17ドル台を回復。一時1.1730ドル付近まで上昇し、21日線を上放れる展開が見られていたが、目先は7月に上値を拒んだ1.18ドルの水準が意識される。
アナリストからは、前日の米消費者物価指数(CPI)を受けたドル安進行で、ユーロが恩恵を受ける可能性があるとの指摘が出ている。米雇用統計が大幅に改善しない限り、ドルが大きく回復する可能性は低いという。ただし、金曜日の米ロ首脳会談までは、ユーロドルの上値余地は限定的となる可能性があるとも述べていた。
ポンドドルは一時1.35ドル台後半まで上昇。21日線を上放れる展開が加速しており、年初からの上昇トレンド復帰を試す展開が見られている。目先は7月下旬に付けた高値1.3590ドルを上抜いて1.36ドル台を回復するか注目される。
ストラテジストは英中銀とFRBの政策見通しの差がポンドを押し上げると指摘。前日発表の5-7月の英雇用統計で雇用者数が予想ほど減少せず、それは英中銀が利下げへの慎重姿勢を維持する根拠になったという。一方、米国では米消費者物価指数(CPI)を受けて、9月の利下げ期待が強化されており、年末までに2回か3回の利下げを織り込む状況が見られている。英中銀については年内利下げがあるか否かといったところ。
ポンドドルは1.36ドル台到達の可能性が出てきているが、それは明日の第2四半期の英GDP速報値次第だとも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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