【これからの見通し】来週に向けてドル安の流れ定着するのか、きょうは米小売売上高などの発表
【これからの見通し】来週に向けてドル安の流れ定着するのか、きょうは米小売売上高などの発表
今週はドル売りが優勢も、材料ごとに市場は神経質な反応を示している。最も注目されたのが米FRBの9月利下げ観測だった。今月初頭に発表された米雇用統計で雇用者数の伸びが鈍化、前回および前々回の数字が異例な大幅下方修正となったことが決定打となった。市場では9割程度の織り込み度で25bp利下げ観測が高まった。
そして、今週の注目材料は火曜日と木曜日の米インフレ指標だった。火曜日の米CPIではヘッドラインインフレが予想を下回る前年比2.7%となる一方、コア前年比は3.1%に加速した。市場反応は明確なドル売りだった。いかに、市場が9月利下げ期待を高めていたのかが示されるような反応だった。しかし、木曜日の米PPIでは前年比+3.3%、コア前年比+3.7%と一気にインフレ率が高まった。市場はドル買いに反応した経緯がある。
加えて、ベッセント米財務長官発言が波乱材料となった。9月の50bp利下げを主張するとともに、モデルの基づくと米金利は1.50%程度まで低下する必要があるとした。さらに、日本はインフレ対応を急ぐ必要がある、として日銀に利上げを促した。米CPIと50bp利下げ発言に反応して、市場では4%程度の50bp利下げ織り込みがみられた。しかし、昨日は一連の発言についてFRBに指図していないと、トーンダウンさせた。米PPI結果とともに、市場では50bp利下げ観測が消滅、7%程度の据え置き織り込みに変化している。
しかし、現時点での市場の9月25bp利下げ織り込み度は93%程度となっており、利下げ期待の高さには目立った変化はみられていない。
この後の海外市場で発表される経済指標は、米経済指標が目白押し。小売売上高(7月)、ニューヨーク連銀製造業景気指数(8月)、輸入物価指数(7月)、輸出物価指数(7月)、鉱工業生産指数(7月)、企業在庫(6月)、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(8月)、対米証券投資(6月)など。そのなかでも特に注目度の高い小売売上高の予想は前月比+0.6%と前回と同水準が見込まれている。自動車除く前月比は+0.3%と前回の+0.5%から伸び悩む予想となっている。
今週の一連の値動きのなかで、ドル指数は低下傾向を示している。この流れが週末にかけても継続するのかどうかをチェックしておきたい。来週22日(金曜日)日本時間午後11時にはパウエル議長がジャクソンホールで講演を行う。しばらくは、米利下げ観測を中心とした相場展開が続きそうだ。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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